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先日、というよりちょっと前になるのですが、今回は5/24に岡山県の笠岡市へ行ってきたときのお話です!
笠岡市は岡山県の南西端に位置しており、瀬戸内海に面しています。
さらに笠岡市の沖には笠岡諸島と呼ばれる複数の島々が並んでおり、これらも笠岡市に含まれています!
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今回はこれら笠岡諸島へは行きませんが、かつて島だったところへは訪れることになります。
どういうことかというと…それは読んでみてのお楽しみ!
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笠岡は一見のどかな瀬戸内の港町。しかし実はとても歴史あるところでもあるのです!
どんなところなのか、とっても楽しみですね!
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目次
岡山県笠岡市へ!
まずは笠岡駅へ
新大阪6:00発の新幹線でまずは岡山駅へ。
今回は18きっぷじゃないので新幹線を使うのも気後れする必要はありません!
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岡山駅で少し時間を潰しつつ、7:34発の糸崎行き普通列車に乗り換え。
岡山駅始発で早い時間から駅で待ってくれるので好きな座席を選び放題!
しかも来た電車はファンシーな青色ベースのラッピングを施した「SETOUCHI TRAIN」!
#20 で乗った電車と同じですね!
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ちなみにこの「SETOUCHI TRAIN」はつい先日、8/24に運行終了したようです。
8:18に笠岡駅に到着!
笠岡市の代表駅ですが、倉敷市や福山市といった大都市が周りにあるのでちょっと小ぢんまりしてる印象。
そこがまたいい味出てると言えるかもですね!
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城の守護神「稲富稲荷神社」へ
今回は笠岡駅でレンタサイクルを利用する予定ですが、まだ受付時間には早いので、駅の近くの神社を先に徒歩で訪れちゃいます。
笠岡駅周辺はまさに笠岡の旧市街で、駅前の商店街を東へ進んでいくとこのような古めかしい民家も並んでいます!
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商店街をさらに東へと進んでいくと右側(南側)に鳥居が建っています。
ここが最初の目的地「稲富稲荷(いなとみいなり)神社」です!
鳥居を渡った先にはJR山陽本線の線路があり、その上に架かった橋が参道となっている点が特徴的。
さらにその上にはバイパスとなっている道路も架かっています。
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線路上に架かる参道を進むとちょっとした丘になっており、参道はこれを登ることに。
この丘は「古城山」と呼ばれ、この中腹に神社が鎮座している形となっています!
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石段を昇っていくと広々とした境内が広がっていてその奥に社殿が建っています。
早速お参りしちゃいましょう!
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拝殿は随所に細かい彫刻が施されていて丁寧に色も塗られています。
大工さんの見事な技術がうかがえますね!
この拝殿は文政二年(1819年)に建てられたもので笠岡市指定文化財となっています!
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拝殿後方のやや小高いところに建つ本殿。
あまりよく見えないものの、こちらは弘化二年(1845年)の建築。こちらも笠岡市指定文化財となっています!
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さて稲富稲荷神社について。御祭神は「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」。
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創建は弘治元年(1555年)のこと。村上隆重(むらかみたかしげ)という人物がここ古城山に笠岡城を築いたとき、その守護神として神様を迎えたと言われています。
笠岡城は江戸時代初めに廃城となったものの、稲富稲荷神社はその後も人々の信仰を集め、今も笠岡で有力な神社の一つとなっています。
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稲富稲荷神社の地図
古城山公園へ
時系列としてはこの後レンタサイクルを利用するため一旦笠岡駅へ戻ることになるのですが、記事の都合上、先にこちらを紹介しておきましょう。
稲富稲荷神社の境内からさらに丘の上へと続く道が伸びており、せっかくなので登っちゃいました!
時系列的には、この日の予定を全て巡り終えた後、帰りの電車まで時間があったので再び稲富稲荷神社を訪れたというタイミング。
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この道を登ったところ、つまり古城山の山頂は古城山公園として整備されています。
この辺りにかつて上記の笠岡城があったようです。
ここには展望台が設置されているので早速昇ってみましょう!
古城山の展望台から東方を見た様子。こちらは新興住宅地が広がっています。
左側には山陽本線の線路も見えていますね!
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そこから視線を右へ。笠岡水道と呼ばれるとても細長い入り江があり、その奥には丘が見えます。
この丘は現在は干拓によって陸続きになっていますが、かつては海で隔てられた島でした!
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このかつて島だった地は「神島(こうのしま)」といい、何を隠そう今回最大の目的地でもあるのです!
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さらに視線を右側へ。笠岡水道は北西方向へと伸びていて、その右側(北東側)に笠岡の旧市街が広がっています。
元々の笠岡の中心はこちら側ということですね!
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ただ訪れたのが夕方だったためこの方角はド逆光。午前中だったら順光となりもっとよく見渡せたことでしょう!
古城山公園展望台の地図
笠岡の由来!?「笠神社」へ
記事の都合上、もう一ヶ所だけ時系列を入れ替えて紹介しちゃいます!
それがこちら、「笠(かさ)神社」です!
何を隠そうこちらの神社、先ほどの稲富稲荷神社から道路を挟んですぐ向かい側に鎮座しているのです!
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時系列的にはこちらの神社、一通り巡り終わって自転車を返却する直前、つまり夕方頃に訪れました。
稲富稲荷神社からすぐなのに時間をずらした理由は太陽光の関係。
稲富稲荷神社と笠神社は向かい合うように鎮座しているので、稲富稲荷神社が順光となるとき笠神社は逆光になるのです!
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ただやはり至近距離なので、記事としては稲富稲荷神社の次に紹介しておこうという算段。
なにしろ、稲富稲荷神社の鳥居と笠神社の鳥居はたったの20mほどしか離れていないのです!
笠神社の鳥居をくぐるとこちらも石段が続きます。
ただこちらはそれほど高いわけでなく、ちょっとした高台といった感じ。
石段を昇るとこちらも広く平坦な境内。
その奥に社殿が建っているのでお参りしちゃいましょう!
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拝殿の後ろには立派な本殿が建っています!
ただこちらは特に指定文化財等にはなっていないようです。
さて笠神社について。御祭神は「応神天皇(おうじんてんのう)」「天照皇大神(あまてらすおおみかみ)」。
笠神社は式内社でないものの、『三代実録』という歴史書の元慶二年(878年)条に見える「笠目神」はこちらの神社とする説があります!
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伝承では、鴨別命(かもわけのみこと)という人物が笠臣(かさのおみ)の姓を賜ったときに笠神社を創建したと言われています。
鴨別命はかつて吉備国(現在の岡山県と広島県東部)を支配した吉備氏の一族で、笠臣の子孫はこの辺りを支配したと言われています。
そして一説には、この笠臣こそが笠岡という地名の由来だとも言われているのです!
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ただ鴨別命は『日本書紀』に「波区芸県(はくぎのあがた)」を治めた旨が記されており、この波区芸県がどこであったかは全くわかっていません。
とはいえ吉備国内における「笠」の符合から、笠岡の地名が笠臣と何らかの関係がある可能性は十分考えられることでしょう。
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一方でいつの頃か伏越八幡宮等と呼ばれるようになり、上記のように今でも御祭神は八幡神である応神天皇となっています。
応神天皇がこの地を訪れたとき、被っていた笠が飛んで松の木に掛かったのでその地に八幡神社を創建した、という伝承もあるようです。
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ちなみに笠神社の境内から参道を見た様子はこんな感じ。
右側に見える丘が稲富稲荷神社の鎮座する古城山です!
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笠神社の地図
謎の石が祀られている「御崎神社」へ
さて時系列を元に戻します。
稲富稲荷神社に参拝した後、笠岡駅に戻ってレンタサイクルを申し込み、ここからは自転車で巡ることに!
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笠岡駅から海沿いにひたすら南の方へと自転車を漕いでいくと、笠岡水道の向こうに丘が見えてきます。
これこそが古城山の展望台で確認した「神島」!
上記のように今は干拓で陸続きになっているものの、かつては海に囲まれた島でした。
とはいえ元から陸続きだったこちら側とを隔てる海峡はとても狭く、橋も架けられています。
高いところに架かる橋なので坂道を登らないといけませんが、今回はこの橋を渡って神島に上陸します!
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この橋の奥に新しく橋脚が建設されており、どうやら新しい橋を架けるようですね!
さて神島に上陸です!
上陸といっても現在は陸続き。
神島の北側はこのように干拓地が広がっており、いちごや野菜など様々な農作物が栽培されているようです!
神島の北側を西へと進んでいくと干拓地が途切れて港が見えてきました!
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さらに西へと進んでいきます。
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神島の最西端の集落へ。
住所としては消滅していますが、バス停の名前から「見崎」という集落であることがわかります。
ここ見崎に鎮座している神社が「御崎神社」です!
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鳥居を二つくぐった先に社殿が建っているので、少し休憩してからお参り。
小さな神社ながら拝殿、本殿ともにしっかりした造りですね!
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さて御崎神社について。残念ながらこちらの神社については資料が極めて乏しく、詳しいことははっきりしません。
岡山県内ではしばしば「御崎神社」という名の神社が見られ、これらはおおむね吉備津神社(詳しくは#014を参照)に関連する神社です。
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しかし吉備津神社に関連する「御崎神社」は基本的に「オンザキ」と読みます。
一方こちらは見崎(ミサキ)というところに鎮座するため、こちらの神社も「ミサキ」と読むのが自然と言えます。
実際に確認していないため不明ですが、オンザキ神社とはまた異なる、文字通り「岬」の神社なのかもしれませんね!
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さてこちらの御崎神社、とっても不思議なものがあります。
鳥居の傍らに建っているこの祠、何やら丸い石が祀られていますね!
この石はこのような形です。
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この三日月状の形が浮き出た円盤状の石は「三日月様」と呼ばれているようです。
脇に由来を記した石碑が設置されているのでここに丸ごと引用しておきましょう。
石碑より引用
三日月様の由来
伝承によれば、神島西に位置する御崎端の銅山南斜面に祀られていた。
いつ頃に誰が創建したか定かではない。
冬至には、神島、福山近隣の信者が、船を浜に着け、列をなして御参りしていた。
時節の変化で、銅山の砕石事業が始まり昭和四十八年に見崎自治会、有志によりこの地に移し再建された。
平成二十七年に改修工事で、祠が建立された。
銅山がどこなのかはよくわかりませんが、国土地理院の地図を見てみると神島の南西端に「御崎」とあるので、恐らく元はその辺りにあったのでしょう。
そしてかつては冬至にお参りする風習があったとのこと。
しかしやはりどのような謂われがあったのかは残念ながら全くわからないようです。
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御崎神社の地図
笠岡のモンサンミッシェル?
さて、ここ見崎の集落の東端あたりで海を見ると沖に岩があります。
この岩は神島との間に陸繋砂州(トンボロ)が形成されていて、ちょっとした半島状になっています。
Googleマップには「笠岡のモンサンミッシェル」とあります。
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いつ誰が言い出したのかはわかりませんが、ちょっとした名所になっているようです。
笠岡のモンサンミッシェルの地図
道の駅「笠岡ベイファーム」で食料調達!
さて道を戻ります。
神島から少し北方、干拓地となっているところに道の駅があるのでちょっと寄ってみましょう!
その道の駅がこちら、「笠岡ベイファーム」!
笠岡で水揚げされた魚介類や干拓地で生産されている農作物など、新鮮な食材がたくさん販売されています!
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まず購入したのがこちら!これ、みなさんは何の魚の刺身かわかりますでしょうか?
実はこれ、岡山県でしか食べられていない魚で「ヒラ」といいます!
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非常に美味な魚で、特に岡山県では春から初夏によく獲れて広く食されています!
ただしこの魚、一つだけ欠点が。
それは小骨がめちゃくちゃ多いこと!
身に小骨がとても多いため、そのまま食べるとチクチクとして食感最悪です。
しかし岡山県民は薄く切って骨を断つ「骨切り」を行うことで美味しく食べているのです!
早速食べてみましょう!
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小骨さえ無ければ高級魚となるポテンシャルさえ感じられる、大変美味な魚でした!
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道の駅ではもう一品購入しました。
こちらはハモの湯引き!
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もしかしたら東日本ではあまり知名度が無いかもしれません。
ハモはウナギやアナゴなどと近い魚で、実はこちらも小骨の多い魚です!
こちらも身に薄く切れ込みをたくさん入れることで「骨切り」を行います。
こうしてたくさんの切れ込みの入った身を湯通しすると花のように開くのです!
出来上がったハモの湯引きは酢味噌か梅肉を付けて食べるのが定番。
購入したパックに酢味噌が付いてたのが嬉しいですね!
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道の駅「笠岡ベイファーム」の地図
神武天皇ゆかりの式内社「神島神社」へ
さて次は神島を時計回りに進み、海岸沿いに南側を目指していきます!
しばらく走っていくと笠岡水道を抜けて広い海が見えてきます!
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さらに神島を海岸沿いに回り込んでいくと「外浦(そとうら)」という漁村へと至ります。
神島の北側の漁村をかつて内浦と呼び、それに対して広い海に面したこちら南側を外浦と呼んだようです。
この外浦に鎮座する神社が次の目的地で、実はそここそがこの旅最大の目的地でもあります!
それがこちら、「神島(こうのしま)神社」!
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鳥居をくぐってすぐのところに社殿が建っているので早速お参りしちゃいましょう!
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拝殿の後ろに建っている本殿もなかなか立派なものですね!
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さて神島神社について。神島神社は1100年前に編さんされた法典『延喜式』に載っている神社、つまりお馴染み式内社です!
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御祭神は「神武天皇(じんむてんのう)」と「興世姫命(おきよひめのみこと)」。
神武天皇はともかく、興世姫命とは聞いたことのない神名ですよね?
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伝承では興世姫命とは神武天皇の妃だと伝えられています。
しかし『古事記』『日本書紀』などをはじめとする古い歴史書には全く登場しません!
つまり興世姫命は伝承としてこの地でのみ伝えられている神名(人名)なのです!
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『古事記』や『日本書紀』には、神武天皇が九州から畿内へと向かう途中、吉備国に「高島宮(たかしまのみや)」という行宮(あんぐう:仮の御所)を作り、そこで数年間過ごしたことが記されています。
この高島宮がどこにあったのかは様々な説があり、中でも有力な候補地の一つとされているのがここ神島の一つ南にある「高島」という離島です!
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神島の南にある高島に神武天皇の滞在したとする伝承は古くからあったらしく、今も高島には高島宮の跡地であるという「高島神社」が鎮座しています。
伝承では、神武天皇の妃だった興世姫命は対岸の神島に行宮を営み、神武天皇が畿内へ出立した後も神島に残ったと言われています。
そして興世姫命の死後、島民により興世姫命を祀ったのが神島神社の創建と伝えられているのです!
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とはいえ上記のように高島宮の有力な候補地は他にもいくつかあります。
あるいは興世姫命は当初全く別の神として信仰されていたところ、いつの頃か神武天皇と結びついたのかもしれません。
今伝えられている伝承がどのように伝えられてきたか、どのような変遷をたどってきたのかは今となっては知る由がありません。
ただ、そもそも「神島」の地名はやはり文字通り神の島と考えるべきで、ここが古くから神様のおわす信仰の地だったことはまず想定して良いでしょう。
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境内におわすこちらの銅像、一体どなたでしょう?
そう、神武天皇です!
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地元の方たちが神武天皇の伝承に誇りを持ち、そして神武天皇を敬慕する様子が感じられます。
そして拝殿前から鳥居の方を見てみるとこのような景色。
神社のすぐ前には雄大な海が広がっています!
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海の向こうに見える島々の内、左側に見える大きな島が「高島」です。
上記のように伝承では神武天皇が滞在した高島宮はあの島にあったと言われています。
何となく、神武天皇が興世姫命の滞在したこちらとを往来した様子が目に浮かぶ気もしますね!
神島神社の地図
神島外浦+αを散策
せっかくなので神島神社の鎮座する外浦地区を散策してみましょう!
上記のように外浦の集落は漁村で、港には多くの漁船が停泊しています。
一方で神島は現在では陸続きになっているものの、笠岡と笠岡諸島を結ぶ航路(三洋汽船が運航)も一部の便がここ外浦に寄港します。
しかも笠岡港から外浦港へと渡ってきた旅客船は、その次は高島へと向かうことになります!
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外浦の集落をそのまま西へと抜けて少し山の方へと進んでいきます。
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しばらく坂道を登っていくと「青龍寺」という小さなお寺、というよりお堂があります。
ここへちょっと寄ってみましょう!
青龍寺は岬の先端にあり、ここからは非常に素晴らしい景色を眺めることが出来ちゃいます!
ご覧のように目の前には青い海!そして奥には高島をはじめとする笠岡諸島の島々!
まさに瀬戸内海の多海美といった光景です!
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綺麗に整備されており、景色を楽しむためのベンチが用意されているのも素晴らしいところ!
神島でイチオシの、本当に素敵な場所でした!
ただこの景色に感動しすぎたあまり、肝心のお堂を記録するのを忘れてしまったのが心残り。
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ちなみにこの記事のアイキャッチ画像はここで撮影したものですよ!
青龍寺の地図
カブトガニ生息地に鎮座する「天神社」へ
青龍寺で景色を堪能したら来た道を戻っていきます。
つまり神島の海岸沿いを反時計回りに進んでいくことに!
道の途中にあった古い灯籠。
来るときは逆光でしたが戻るときにはいい感じの順光になっていました!
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古い時代はここに火を灯して夜でも安全に船が通れるようにしていたことでしょう。
さて神島の北東端にあたる地に神社が鎮座しているので寄っておきましょう。
こちらの神社は「天神社」!
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早速参拝しちゃいましょう!
社殿は北向きとなっていて、入口からは180度回り込んで参拝する形になります。
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拝殿の後ろに建っている本殿は比較的大規模なもの。
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さて天神社について。御祭神は「菅原道真」。言わずもがな天神信仰の神社です!
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社伝によれば延文年間(1356年~1361年)に小見山某というこの地の地頭だった人物により創建されたと伝えられています。
その後に災難があって貞享四年(1687年)に福山藩主の水野勝慶(勝種)により社殿が再興されたと言われています。
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先ほど見たようにこちらの神社は入口に鳥居がありません。
しかし鳥居自体はちゃんとあります。
どこにあるのかというと、写真のように拝殿の先、海に面して建っているのです!
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これは本来はこちら側が入口だったことを意味しています。
想像ながら、古くは船で海側から参拝するのが正式だったのかもしれませんね!
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天神社は(埋立でちょっとわかりにくくなっているものの)三角形に突き出た岬の先端に鎮座しています。
鳥居の先から境内東側にかけてはこのように浜となっています。
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実はこちらの浜、ただの浜ではありません!
実はこちらの浜、カブトガニの繁殖地となっていて国の天然記念物にも指定されているのです!
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カブトガニは今でこそ血液が医療に役に立つとされているものの、かつては人間にとって何の役にも立たず漁師からは嫌われていたようです。
しかしカブトガニの生息地である干潟がどんどん失われていき、個体数も大きく減らして遂には絶滅危惧種になってしまいました。
そこでカブトガニおよびその生息地の干潟を保護することになったのです!
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今ではカブトガニ博物館があるなど、笠岡市ではカブトガニがマスコット的な存在となっています!
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なお、カブトガニの保護のためこの浜には入らないよう注意喚起がなされています。
皆さまもお気を付けくださいませ。
この浜で海を眺めていると笠岡諸島へ向かうフェリーが通り過ぎていきました。
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天神社の地図
蛇だらけの神社!?「道通神社」へ
再び橋を渡って笠岡方面へと戻っていきますよ!
上の写真は橋を渡るちょっと前の景色。左側が神島、橋の先の右側が本土側です。
右側の方も小高い丘となっていることがわかりますね。
右側の丘付近の地名は「横島」といい、実はその名の通りこちらも元々は島だったのです!
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実際に古い絵図には島として描かれているらしく、延宝二年(1674年)に干拓によって陸続きになったようです。
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この横島にちょっと面白い神社があるので寄ってみましょう!
こちらの神社は「道通(どうつう)神社」!
丘の北西側に古くからの集落があり、そこから参道が伸びています。
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石段を上って鳥居をくぐり、左側に曲がると社殿が建っています。
早速お参りしちゃいましょう!
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拝殿前には二体の石像があり、いずれも長い鼻を持っているのが特徴的。
道通神社の御祭神は「猿田彦命(さるたひこのみこと)」で、石像はこの神様を象ったもの。
日本神話で道案内をしたことから導きの神として有名。長い鼻を持っていることも『日本書紀』などに記されていますよ!
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拝殿の後ろに建っている本殿。とても立派な建物です!
さて道通神社について。上記のように御祭神は「猿田彦命」。明治年間に「応神天皇」も合祀しています。
社伝によれば戦国時代、この地一帯は戦乱に加えて悪病や災害に見舞われ、作物も実らず住民は疲弊しきっていたという。その時「これは道通様の祟りだ」と噂が広まり、当時島だったこの地に社殿を造って御神体を祀ったところ悪病や災害はなくなり平穏に過ごすことが出来た、と伝えられています。
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さてこちらの道通神社、とても面白いものがあるのです!
写真で早速ご覧いただきましょう!
ドン!
ドドン!
ドドドン!
ドドドドン!
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そうなんです!こちらの神社、とっても多くの蛇の像が祀られているのです!
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中国地方では「トウビョウ」と呼ばれる民間信仰が盛んで、これは蛇の憑き物とされています。
このトウビョウは非常に祟りやすいと言われ、岡山県ではこれを鎮めるために「道通様」を祀る風習があるのです!
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ちなみにトウビョウが憑くと様々なことが起こると言われています。
富がもたらされるといったプラス要素もあったりするようですが、憑いてる人に危害を加えることもあると言われています。
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強い威力を持った神様や妖怪は、その神威がプラスに働けば富をもたらし、マイナスに働けば危害を加えるもの。
丁寧に祀れば神威はプラスに働くし、ぞんざいに扱えばマイナスに働く。
祟る神様・祟る妖怪は往々にしてそのような性質を持っており、トウビョウはその代表的な存在と言えることでしょう。
道通神社の地図
帰路へ
道通神社の参拝後は上述のように笠神社を参拝、そして自転車を返却して古城山公園へ、という流れ。
この辺りは時系列を入れ替えて既に紹介した通り。
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良い時間になったので電車で帰ることに。
笠岡駅から乗った電車は行きに乗ったのと同じファンシーな青い電車「SETOUCHI TRAIN」!
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実に瀬戸内らしい電車で、最後まで旅情を盛り立ててくれました!
岡山駅からは新幹線で一気に新大阪駅へ!
18きっぷなら大阪まで在来線を使うところですが、今回は実費なので大奮発です!
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新幹線で食べたおやつ。今回は備中名物の「藤戸饅頭」をいただいちゃいました!
岡山土産として定番の大手饅頭と見た目も味も似ていますが、こちらの方が歴史が古く、賞味期限も短いのが特徴!
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まとめ
というわけでこのように今回は岡山県笠岡市をあちこち巡ってきました!
現在は陸続きとなっているもののかつては島だったというようなところが多いところでしたね!
しかもただの島でなく、古い式内社があったり岡山県で盛んな民間信仰の総本宮があったりとまさに「信仰の島」だったことが実感できました!
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実は笠岡市には式内社がもう一ヶ所あるのですが、これはまた別の機会に既に参拝しています。
他にもまだまだ紹介しきれなかったところも多く、笠岡諸島なども含めてまたいずれ紹介したいところですね!
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アイキャッチの元画像はCi-enの記事に公開しているのでこちらも是非見てみてくださいね!